「入籍」という言葉がありますね。

一般に、「入籍」は、「法律上の婚姻」の意味で慣用されています。

まあ、世間一般の慣用表現としては、「入籍=法律婚」の意味だと思っておくことにすればよいだけなので、それで差し支えないでしょう。

しかし、ここで、

「入籍」という言葉は現行戸籍制度に照らして正確なものなのか

という話をしなければ気が済まないのが、法律家のウザい真面目なところです。

結論から言うと、現行戸籍制度の観点からは、

婚姻を「入籍」と呼ぶのは、多くの場合誤りである

ということになります。

その理由は、

多くの婚姻においては、「誰かが別の誰かの戸籍に”入る”」という事態は生じない

からです。

現行戸籍法においては、戦前のいわゆる「イエ」単位ではなく、夫婦+その子という、いわば核家族の単位で戸籍が編成されることになっています。

そのため婚姻は、新戸籍の編製原因とされています。

ある夫婦の子として出生した赤ちゃんが、いつか大きくなって自ら新たに夫婦を作ったときには、自らの夫婦の新たな戸籍を作ってもらい、従前お互いが入っていた戸籍からは出て行くことになっているわけです。

だから、婚姻時には新たな戸籍を作るのが通常なのであって、誰かが誰かの戸籍に入るという事態は、そもそも生じようがないわけですね。

これが、「入籍」は多くの場合誤りである、ということの意味です(そのため、「創籍」と呼ぶべきだ、と言う人もいます)。

しかしこの、「婚姻によって新戸籍が編製される」という原則には例外があります。

すなわち、婚姻当事者のうち氏を変更しない方の人(Xとする)が既に戸籍筆頭者になっている場合には、新戸籍を編製せず、氏を変更しない方の当事者(Yとする)は、Xの戸籍に入る形になります。

この場合は、実際に戸籍の動きを見ても「入籍」といえるわけですね。

先に触れたように、出生から初婚までの間は、ほとんどの人は親を筆頭者とする戸籍に入っているはずなので、初婚同士では「入籍」は滅多に生じません。

しかしいったん結婚して離婚したような場合、自分が離婚後の戸籍筆頭者になるということは普通に生じますから、再婚の場合は「入籍」になるケースが結構多いと思われます。

まあ、何の役にも立たない知識ではありますが、友達に教えて軽くドヤ顔くらいはできるかもしれません。

あるいは、

2人で新しい戸籍を作ろう!

と、斬新なプロポーズをしてみるとか。

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