いわゆる亀岡暴走事件について、去る2月19日、京都地裁で判決が言い渡されました。

この判決、さらに遡って、危険運転致死罪でなく自動車運転過失致死罪で起訴した検察の判断について、世間では批判が強いようですが、私が法律家として見る限り、

ズレてるなあ

としか言いようのない批判がなされているようですので、ちょっと書いておきます。

この事件について世間様が納得いかないのは、無免許運転にもかかわらず、「その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ」という危険運転致死傷罪の要件に該当しないとされたことのようです。

しかし、「その進行を制御する技能を有しない」かどうかというのは、明らかに実質的にみた技能の有無を問題にしている条文であって、形式的に免許の有無で決する趣旨でないことは、法律家でなくても、日本語を解するならばわかるはずだと思うのですね。

手短に言って、免許の有無で決したいのならば、「運転免許を保有せずに」と条文を変えれば済む話ですから。

まあ、実際上、免許がないなら技能を有しない人は多いでしょう。逆に免許があるなら、危険運転致死傷罪が適用されない程度の最低限の技能は有する人が大半でしょう。

しかし、免許の有無と技能の有無との関係(とりわけ、無免許と無技能との関係)は論理必然ではないので、免許がなくても技能を有する人はいくらでもいるでしょうし、免許があっても危険運転にあたらない程度の技能すらない人も例外的にはいるでしょう。

ここまでは、論理的に当然のことですね。

で、そうであるならば、

無免許運転者に危険運転致死傷罪が適用されないことがあるとしてもやむを得ない

というのが、論理的な帰結なのです。

だから亀岡の件は、被告人の技能が実際に著しく不足していたのに危険運転致死が適用されなかったとして批判するならともかく、無免許なのに適用されなかったとして批判するのは、全くの的はずれなのです。

終わり。

なんか、せっかく関心の高いテーマなのに、「無免許運転なのに危険運転致死傷罪にならないのはおかしい!」という主張があまりにも間違っているため、あまり分量を費やすことなく終わってしまいましたね。

まあ、そういうことで。

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